SHOMONA

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東京とわたし

あっ

 

という間に上京して1年が経った。本当に早い。

 

やっぱりすげえな、と思う。この1年間で、東京という街の特異さをいくつも実感した。住んだことがある他のどの地方都市とも流石に全然違う。当たり前かもしれないけれど。

それらのうち、特に印象的なことのひとつに「共同体としての思想を押し付けない」というのがあった。「この街の住人はこうあるべき」という規範が見当たらない。実はあるのかもしれないが、その強制を感じない。

 

たとえば福岡では、全員が福岡ソフトバンクホークスを応援しなければならない・応援していて当たり前という空気があった。あんなに大らかで懐の深い福岡県民でも、こと野球については多様性を認めなかった。以前、福岡から上京してきた無垢な友人が「東京のみんなはどこを応援してるの?巨人?」と聞いてきたのだけど、かかる思想はこの一言に集約されているように思う。そもそも都民全員が野球ファンではないんだよ、から説明する必要があった。

 

しかしこれは福岡に限った話ではなく、きっと多かれ少なかれどこの県、どこの街にもあるはずだ。あなたの住む街にもある。

その土地独特の狭量さこそ文化だ。

その文化を(普段生活している)東京では感じられない。下町にはまだ残っているのだろうか。東京には、とにかくなんでもかんでも受け入れてくれる街という印象しかない。「東京の人は冷たい」という定説も本質は一緒で、ダイバーシティ化が行き着くところまで行くと、他人に干渉する意味がなくなってくる気がする。

本当に居心地が良い。

 

さて、では一体何歳までこの東京を住みよく感じられるだろうか。歳をとると故郷や田舎が恋しくなるのだろうか。それとも歳をとる過程で小さな文化を再生産し、その中で暮らすのだろうか。誰かに思想を押し付けるのだろうか。

 

それでも東京は自由だ。巨人を応援しなくても良いし、ホークスを応援したって良い。ちなみに普段はビジターとして東京に来るホークスだが、東京ドームの試合でもホークス主催のイベント「鷹の祭典」を行う日がある。これはソフトバンクの本社が東京だから、という理由らしい。この試合に行くとユニフォームが貰えるから在京ファンにはオススメなのだ。

 

なんて風に、地元や地方にいた頃はなんとも思ってなかったことでも、上京した途端に態度をころっと変え、まるで観光大使のように振る舞ったりする。

東京には、そういう自由もある。